塗料の中身って一体……①

長野市を中心に外壁・屋根の塗装を営む

川浦塗装工業・代表の川浦です。

 

前回、前前回に続きまして、塗料についてのお話をもう少し掘り下げていきたいと思います。

実際に塗装において、塗装する場所、状態、もちろん価格なども影響してきたりしますが、では、色んな塗料あるけど実際のところどんな物があったりするのだろうって言う所から、進めていきます。

だいぶ長くなるので、お休みしながら読んで貰えたらなと思います(oˆ罒ˆo)

 

 

塗料はその種類と目的の多さの為に、比較する事や仕分けをする事が難しいので、大体は塗装の目的や樹脂の種類で分けられています。

それだけではなく、塗料の製造法で同じ樹脂でも違う目的に使用される塗料もあります。

現在の住宅の塗り替えで活躍している塗料は

エポキシ樹脂塗料・アクリル樹脂塗料・ウレタン樹脂塗料・シリコン樹脂塗料・ふっ素樹脂塗料

があります。

 

 

【アクリル樹脂塗料】

アクリル樹脂を主原料にする塗料で、各種のアクリルモノマーを共重合させて出来た樹脂を基体樹脂とし、塗膜の形成は溶剤の揮発によってのみ硬化・乾燥する揮発乾燥形の塗料です。―塗装【超実用】テクニック読本引用

・この塗料は主に外壁や軒裏に使用されます。

外壁用のアクリル塗料は、仕上がり性やコストパフォーマンス性で、昔は人気があった様ですが、最近はウレタン樹脂塗料やシリコン樹脂塗料の登場であまり使われなくなってきました。

アクリル樹脂自体、水分を通しやすい性質をもっているので、軒裏など、比較的湿気が溜まりやすい箇所では適度に透湿効果があるこの塗料が有効だと言われているからです。

金額も他の塗料と比較すると少し安価で、使い回しがききやすいのもメリットといえます。

 

 

【ウレタン樹脂塗料(ポリウレタン塗料)】

ポリウレタン塗料は、分子内にウレタン結合またはそれに類似の結合をもつウレタンが基体となる塗料で、一般にイソシアネートとアルコール(ポリオール)の2液からなる2液形の塗料である。―塗料と塗装引用

・この塗料は主に屋根・外壁・付帯に使用されます。

自分達が通常使うポリウレタン塗料は、主に車両用等に使われる『強溶剤系』と、建築塗装に用いられる『弱溶剤系』『水系』の3種類です。

『強溶剤系』のポリウレタン塗料は、玄関ドアや雨戸など、既製品のような仕上がりを求める時に使います。(スプレー塗装)

一方『弱溶剤系』や『水系』はその扱いやすさと仕上がりの良さ、耐候性の面でも性能が良く、多く使用されています。

この塗料には1液タイプと2液タイプがあり、メーカーや1液タイプ・2液のタイプの違いによって結合方法・硬化方法・耐候性などがさまざまです。

最近、ポリウレタン塗料(弱溶剤系)はシリコン樹脂塗料の登場で少し陰りが見えていますが、未だにこの塗料はベストセラーなんですよ。

 

 

【シリコン樹脂塗料】

シリコン樹脂塗料とは、鐘淵化学工業が開発したアクリルシリコン樹脂『ゼムラック』を元にして塗料化したものである。

アクリルを主鎖とし、架橋点にシリコンをペンダントさせたもので、鎖端部のアルコキシル基が大気中の水および硬化触媒により、シロキサン結合を形成するものである。

この結合は結合エネルギーが高く、耐久性に優れている。―塗装【超実用】テクニック読本引用

・この塗料は主に屋根・外壁・付帯に使用されます。

このシリコン樹脂塗料は、発売された当初ふっ素樹脂に近い耐久性をもち、塗料価格はポリウレタン樹脂塗料とフッ素樹脂塗料の中間に位置したため期待されていたようですが、一般には金額が高価だった為か、あまり使う人はいなかったみたいです。

しかし最近どの塗装店でも『シリコン樹脂塗料』は標準規格になっています。

この理由としては『シリコン樹脂塗料』の汎用品が出回ってきて、商品の価格がかなり安価になってきたためではないでしょうか。

この塗料は説明書とか商品名に『シリコン樹脂』や『Si』とか『セラミック配合!!』とか書いてあって(全部同じなんですが)そのオブラートに包んだ感じが、知らない人は頭を悩まされたんじゃないでしょうか。

しかし、本当に性能が高い『シリコン樹脂塗料』はまだかなり高価(ポリウレタン塗料も)で、あまり一般的に使っている人はいないんじゃないでしょうか。

使う用途・種類としてはポリウレタン塗料とほぼ同じで、『強溶剤系』『弱溶剤系』『水系』があり、硬化タイプも1液と2液のタイプがあります。

実はこの樹脂を使った塗料は色々あって、一般的な『シリコン樹脂塗料』のイメージと違うものの多々あります。

『光触媒』というワードは、聞いた事があるんじゃないでしょうか。

光触媒の上塗りは、ケイ素を主体とする塗料液の中に酸化チタンが入っているんですが、なぜケイ素を主体とする樹脂をバインダーに使うかというと、結合エネルギーが低い樹脂だと光触媒の反応起こった時に酸化チタン影響で、周りの樹脂が分解されてしまうからなんです。

だからその光触媒反応に耐えれる結合力をもつシリコン樹脂が使われているんですね。

他にも最近では、フッ素樹脂塗料をも上回る超対候性塗料として、無機系のシリコン樹脂塗料が発売されています。

 

 

【ふっ素樹脂塗料】

ふっ素樹脂塗料とは、各種の合成樹脂の中で最も化学的に安定性が高い炭素(C)ふっ素(F)結合を有する樹脂を使用している塗料。

自分の認識では、ウレタン塗料の樹脂をふっ素樹脂に置き換えて作った塗料。という感じです。

・この塗料は主に屋根・外壁・付帯に使用されます。

この塗料は特になんですが、書いても書ききれないほど自分の中で消化出来てないんです。

しかしここは、住宅の塗りかえに的を絞って書いてみます。

ふっ素樹脂塗料は、住宅の塗りかえに用いる塗料としては最高グレードの金額と耐候性じゃないでしょうか。

本当に高価なふっ素樹脂塗料になってくると、紫外線のエネルギーに樹脂の結合エネルギーが負けません。(結合を切られません)理論上は半永久的みたいですね。

ただ、住宅の塗りかえの場合、必ずしも『塗料の耐候性=塗装の耐久性』ではないので「ふっ素樹脂塗料を塗ればずっと大丈夫」という訳じゃないんですよね。これがまた。

例えばサイディングボードを張っている住宅の場合、その継ぎ目のシーリング部分は常に負担がかかっています。

また、水分の影響を受けやすい箇所、日光や湿気の影響で収縮を繰り返している箇所

こういう過酷な条件では、期待年数持つかどうかは正直分かりません。

屋根の塗装に関しては、長い光沢保持率が期待出来るのでいいと思うんですが。

そして、いくら高級な塗料を塗ったからといってメンテナンスフリーになるわけではありません。(2回目)ただし、他の塗料と比べると塗りかえ時期はのばせます。

こうやって書いていますが、決し塗料叩きではありませんのであしからず。(ふっ素樹脂塗料自体素晴らしい塗料ですから)

ふっ素樹脂塗料は、今時点で最高グレードの塗料です。(もちろんそのグレードにもよりますが。)

しかし、住宅の塗りかえに限っていうと、費用と耐候性のバランスでシリコン樹脂塗料に軍配があがるんではないでしょうか。

 

 

【エポキシ樹脂塗料】

エポキシ樹脂塗料とは、分子中に2個以上のエポキシ基を含む樹脂状物である。―塗料と塗装引用

エポキシ樹脂自体、硬化剤の種類によって色々な目的に使用されます。エポパテなんかも有名ですよね。

この樹脂を使った塗料ははとても優れた性能を持っていて、耐紫外線性はないものの、耐水性・耐薬品性・耐摩耗性・密着性など、色々な面で非常に優れていて、さまざまな用途に用いられます。

非常に分厚い膜厚を付けることが出来るので、橋梁の錆止めや船舶の船底塗料としても用いられていますが、住宅の場合、下塗りや錆止め用の塗料として広く使用されていますね。

最近では弱溶剤の1液タイプなんかも出ていて、非常に使いやすい材料です。

塗料の種類は素地によって違うんですが、密着の良くない物質(アルミ・亜鉛めっき等)のプライマーとして用いたり、吸い込みの大きな下地を強固にする目的でも使います。

例えばフィラーなんかだと『エポ』と明記されていると少し高値なんですが、使う側としては『エポ』のネーミングだけで安心感がありますね(笑)

まさに万能の樹脂ですね。

 

今では、無機塗料等もでてきたり、遮熱塗料などなど、色んな塗料種類もメーカーさんが出して来たりしてるので、我々も日々勉強です。

これについてはまた、後日追っていこうかなと思います。

ありがとうございました。


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